遠坂八重『死んだら永遠に休めます』library

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なんと今年初めて読み終えた本。YouTubeの『積読チャンネル』で寸止めで紹介されていて、全貌を知りたくなったのだ。驚くほどリーダブルで、久々の読書にも関わらず数日分の移動時間で読み終えてしまった。

パワハラ上司が突然失踪し、しばらくして上司本人のメールアドレスから自分は部下の誰かに殺されたというメールが届く。周囲から疑いと恐怖の目を向けられた主人公たちは上司の行方をつきとめようとする……。

主人公兼語り手は部下のひとり、青瀬というアラサーの女性だ(そういえば彼女のファーストネームは最後まで明かされない)。実家から送られたミカンの箱を二度も放置したまま腐らせたり、集中力が常に散漫だったり、パワハラと激務の影響をうかがわせるが、実はそれだけじゃないことが追々わかってくる。ミステリーは誰が誰を殺したかがわかればそこで謎解き終了だが、本作はさらにそのあとに、それとは異なる潜在的な加害者と被害者が明らかになるのだ。

青瀬は大きな衝撃を受け、それまで必死でしがみついていた会社をついに辞めることにする。そして穏やかだが苦いエピローグ。

ほんとうにひどいのは会社のマネジメント層だ。パワハラと激務を招くのが明らかな人事配置を行い、それをそのまま放置し続けた。大林人事部長は善意の第三者の役回りで涼しい顔をしているが、今回の事件を招いた責任はすべて彼らの無能さにあると言っても過言でない。だが、それを責める者は誰もいない。けっこうこれは今の日本の縮図かもしれない。

★★