村上春樹『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011』

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)

19のインタビューのうち13が海外メディアのインタビューというところが特徴的。村上春樹「作家はあまり自作について語るべきではない」と思っていて、平凡な人間である自分自身に対して出なく作品の方に興味を持って欲しいといっている。ただ、海外に対してはある種の責任感を感じるらしく、比較的積極的にインタビューに応じているようだ。

読者としては、毎日朝4時に目覚めて5時間かっきり執筆し、午後は家事と体力作りにあてるというライフスタイルや、執筆中は、物語という危険な井戸の底におりていく感じで、自分でもどこに向かうかわからないという、創作スタイルが、興味深かった。

読み終えてさらに思ったが、村上春樹のように、自分の中にモティベーションがあって、すでに国内、海外の評価を勝ち得て、金銭的にも恵まれている作家が、ノーベル文学賞を受賞する現実的メリットは何もないと思う。むしろ身辺が騒がしくなって、執筆の邪魔になりそうだ。今年もとれなくてよかった。

★★★