竹内繁樹『量子コンピュータ 超並列計算のからくり』
いまさら量子コンピュータのことをまったく知らないと思ったので、最低限の知識をインプットしておくことにした。2005年に書かれた本なので古びてないかなと思ったが、基本的なしくみの話がメインなので、その部分は変化はないのだった。フェーズとしても実用化に向けての研究が少しずつ進んでいるという状況に変わりはなさそうだった。
目次は以下の通り。
- 第1章 量子計算でできること
- 第2章 「量子」とはなにか
- 第3章 量子の不思議
- 第4章 「量子」を使った計算機
- 第5章 量子アルゴリズム
- 第6章 実現に向けた挑戦
- 第7章 量子コンピュータの周辺に広がる世界と量子暗号
一番知りたかったことは「量子コンピュータで汎用的な計算が可能なのか」ということだった。量子コンピュータに使われる量子ビットは古典的なコンピュータのビットの上位互換ではあるので、可能ではあるようだ。ただし量子コンピュータは量子の特性である重ね合わせによる並列計算をしてはじめてその価値が発揮されるものなので、無意味。しかも並列計算ならなんでもできるわけではなく、量子の特性をいかしたアルゴリズムが必要になるようだ。本書が書かれた年代、そして現在もアルゴリズムの開発は進められている。
もうひとつ、量子コンピュータ実現の鍵となるのはハードゥエアの基盤となる量子ビットで、いくつか提案されているものの、いまだに帯に短したすきに長しで、決定版と言えるものは見つかってないようだ。
本書では、量子の初歩的な知識と照らし合わせながら、このあたりの事情が一歩踏み込んで解説されている。
実は、量子コンピュータと混同されやすい量子アニーリングについても説明してもらって、違いを発揮離任したかったのだが、それは本書の範囲外だった。
電子書籍で読んだが、横書きのせいか、全ページ画像というのが新鮮だった。視認性は問題ないが検索ができない。
★★