『作者を探す六人の登場人物』

1921年に書かれた古典。だがまったく内容を知らず、タイトル通り六人の登場人物が自分たちを創造した作者を探す話だと思っていた。実際はかなり違っていて、ピアンデルロの既成の戯曲の稽古をしている劇団のもとに彼らがやってくる。彼らというのはとある劇作家が執筆中に放棄した作品の登場人物た...

オフィスコットーネプロデュース『ザ・ダーク』

ホラーっぽいタイトルだがさにあらず。現代の家族劇。2004年にロンドンで初演されている。 とあるストリートに隣り合って住む、倦怠期の中年夫婦と引きこもりの息子、赤ん坊が生まれたばかりの若夫婦、そして幼児性愛の濡れ衣を着せられた男とその置いた母親。ふだんあいさつもかわさないこの3組の...

『8月の家族たち August: Osage Country』

アメリカで2007年に初演され高い評価を勝ち得た戯曲。メリル・ストリープとジュリー・ロバーツ主演で映画化もされている。 オクラホマ州オーセージ郡、大草原の片隅で二人だけで暮らす夫婦。夫ベヴァリーは元詩人で現アル中。妻ヴァイオレットはガンの闘病中で薬物の過剰摂取。うだるような8月、住...

葛川思潮社『背信』

おお、メロドラマだ。いろいろ演劇をみてきたけど、演劇はメロドラマにはじまり、メロドラマに終わるんじゃないか。最近そんな気がしている。メロドラマというのはコンテンツというよりメディアなのだ。最小限の背景説明でその上にいろいろなものをのせられる。 お互い家庭を持ちながら密会用の部屋を借...

青年団国際演劇交流プロジェクト『愛のおわり[日本版]』

舞台がまるでボクシングのリングみたいに男と女が対角線上に位置し言葉による戦いが行われる。ただしほんとうのボクシングとパンチの応酬はなく攻撃するのはどちらか一方のみ。前半は男が攻撃し、後半は攻守所をかえて女のターンになる。賭けられているのは二人の「愛のおわり」だ。 最初に別れを切り出...

『温室』

病人を収容する国立の施設が舞台。そこでは代表のルートを頂点に専門職員、一般職員、患者という厳然としたヒエラルキーが存在し、患者は番号で呼ばれている。そんな中、患者6457号が死亡し6459号が出産するという想定外の事件が連続して起きる……。 冒頭部の不条理さとブラックな笑いに大いに...

『タンゴ - TANGO - 』

作:スワヴォミル・ムロジェック(翻訳:米川和夫、工藤幸雄)、演出:長塚圭史/シアターコクーン/S席9000円/2010-11-13 19:00/★ 出演:森山未來、奥村佳恵、吉田鋼太郎、秋山菜津子、片桐はいり、辻萬長、橋本さとし ポーランドの劇作家ムロジェックにより1965年に書かれた...

『ハーパー・リーガン』

作:サイモン・スティーヴンス(訳:薛珠麗)、演出:長塚圭史/PARCO劇場/指定席7500円/2010-09-11 19:00/★★★★ 出演:小林聡美、山崎一、美波、大河内浩、福田転球、間宮祥太朗、木野花 失業中の夫とカレッジに通う17歳の娘、3人の生活を女手一つでささえるハーパーは...

シリーズ・同時代【海外編】『タトゥー』

作:デーア・ローアー(翻訳:三輪玲子)、演出:岡田利規/新国立劇場小劇場/A席4200円/2009-05-16 13:00/★ 出演:吹越満、柴本幸、鈴木浩介、内田慈、広岡由里子 またしてもマチネー。 海外の同時代の戯曲を日本の若手演出家が演出するシリーズ第3弾。今回はドイツのデーア・ロ...

シリーズ・同時代【海外編】『昔の女』

作:ローラント・シンメルプフェニヒ(翻訳:大塚直)、演出:倉持裕/新国立劇場小劇場/A席4200円/2009-03-20 13:00/★★★ 出演:松重豊、七瀬なつみ、日下部そう、ちすん、西田尚美 寝坊できないのでマチネーはあまり好きではないのだが、ほかに選択肢がなかった。今年は例年に...

オリガト・プラスティコ『漂う電球』

作:ウディ・アレン(訳:鈴木小百合)、演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/本多劇場/指5500円/2006-09-30 19:00/★★★ 出演:岡田義徳、高橋一生、広岡由里子、伊藤正之、町田マリー、渡辺いっけい ニューヨーク、ブルックリンの貧しい家庭が舞台。若い女にいれあげ一攫千金を...

地点『雌鳥の中のナイフ』

作:デイヴィッド・ハロワー(訳:谷岡健彦)、演出:三浦基/アトリエ春風舎/自2500円/2005-01-01 19:00/★★ 出演:安部聡子、大庭祐介、小林洋平 不思議な抑揚と間で語られるセリフ。言葉を異化させて、内容でなく言葉そのものに注意を向けさせようとしているのだ。 登場人物は3...