『昨日』 by ルイーズ・ララン
フォーレ、ドビュッシー、プーランクなどフランス歌曲ファンなので、ここらでなにかひとつ歌詞を訳してみようと物色して、最初に試したのが Paul Verlaine の 《Il pleure dans mon cœur》。これは理由なき喪失感をうたったとても切実でいい詩なんだけど、有名すぎてさんざん訳されているし、同じ内容の言い換えが多いので、訳していて面白さがないし気も滅入ってくる。そこで、プーランクの歌曲以外ではあまり知られてないこっちの詩に切り替えてみた。
昨日、それはいろあせた帽子 ずっと持ち歩いていた 昨日、それはみすぼらしい服 もう流行遅れの 昨日、それは美しい修道院 今は誰もいない そして、それは女学校の 憂鬱な薔薇 昨日、それは見込みのないことに夢中のわたしの心 あと一年、もう一年だけ 昨日、それは今夜にはもう単なる影 わたしの部屋のわたしの目の前にある