シリーウォークプロデュース『ウチハソバヤジャナイ』

作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ、脚色・演出:ブルースカイ/ザ・スズナリ/指定席3800円/2004-03-19 19:00/★★

出演:藤田秀世、喜安浩平、正名僕蔵、荒井タカシ、大山鎬則、廣川三憲、小村裕次郎、千代田信一、乙井順、村上寿子、三谷智子、立本恭子、渡辺道子

「ウチハソバヤジャナイ」はナイロン100℃の前身「健康」の傑作として語り継がれている作品だ。ぼくが芝居を見始めたのは1998年からなので、当然みたことはない。今回演劇弁当猫ニャー(2004年9月で解散するそうだ)のブルースカイが演出をするというので、見にいったわけだが、かなりブルースカイ独自の脚色が入っているようで、たぶんオリジナルとはまったく別の作品になっていたのではないかと思う。

全体的にいかにもブルースカイらしい笑いがちりばめられていたが、今回は、その中でもべたな笑いが多かったし、特に演出面で、こうしておけば笑うだろうというような安易な計算が目についた気がする。その計算にまんまとひっかかって、ぼくもそれなりに笑ったのだが。

そういう笑いの合間につい思い描いてしまうのが、オリジナルの作品で、国民のほとんどが人工脳を移植するという設定が、『攻殻機動隊』を彷彿とさせるし、アルジャーノンという登場人物の名前がダニエル・キースの作品からとられているところなど、なかなか奥深そうで、脳内にあるその作品の方が今眼前に展開されている舞台より、はるかに面白そうな感じがしてしまった。