チェルフィッチュ『女優の魂』
このテキストは小説として書かれたもので、それをそのまま上演しようと主演の佐々木幸子さんが言い出したことからこの企画がはじまったらしい。
長さ40分のひとり芝居。終始ある女優(といってもすぐ元女優だとわかるのだが)の独白という形で進行する。なぜ今は女優でなくなってしまったのかという理由は少しずつ明らかになるが、それが意外性に満ちていて、あっという間に引き込まれる。その物語を通して浮かび上がってくるのは作者の岡田利規の演劇観、芸術観だ。
佐々木幸子さんは最初チェルフィッチュの舞台でみたときは地味で大人しい感じの人だと思ったが、その後の舞台でその印象は大間違いだということがわかる。メガネの奥の目が悪戯っぽく光る人なのだ。今回も、知らなければあて書きだと思ってしまっただろう。完全に役にはまっていた。
何といまさら名前が「さちこ」でなく「ゆきこ」だということを知ってしまった。
原作・演出:岡田利規/新宿ゴールデン街劇場/自由席2500円/2015-08-30 14:00/★★★
出演:佐々木幸子