岡崎藝術座『+51 アビアシオン,サンボルハ』
はじめての岡崎藝術座。
日系移民の子孫としてペルーで生まれ日本で育った作・演出の神里雄大さんの私小説的な作品だ。沖縄の親戚と祖先の墓からほとんど記憶にないが生まれ故郷であるペルーに祖母を訪ねた自分のルーツをたどる旅を題材に、日本出身で左翼弾圧から逃れて世界中を転々とした末メキシコ演劇の父と呼ばれるようになった佐野磧をイマジナリーフレンド的に登場させる。
ほとんどの時間俳優たちは役を演じるのではなくモノローグをリーディングする。比喩が飛躍する現代詩のようなモノローグだ。なぜこのテキストを演劇という形で表現するのか、実は小説という形をとったほうが適切なのではないかという疑問があたまをもたげなくもないが、若さににあわず俳優たちの技量は確かで、声にのせられているからこその説得力はあった。
移民として生きることの形を内と外から虚飾なしにかつ幻想的に描いた作品だった。
作・演出:神里雄大/横浜STスポット/自由席2800円/2015-02-14 19:00/★★
出演:小野正彦、大村わたる、児玉磨利