同窓会ということでやってきた3人がかわるがわる自分の物語を語る。冒頭の松井周さん(役名は役者の名前と同じになってる)はタイに移住してラオスで焼酎工場を経営している。そうなるにいたった経緯を語ろうとしているのだが、次々と脱線して、バンコクで見つけた野外のバーの話から、そこで出会った美女の話になっていく……。二番目は上城みきさんで、沖縄からボリビアに移住した人々の苦難について語る。しんがりは大村わたるさんで、なんとなく東京から沖縄に移住したという設定。学校のスポーツ部活のエピソードの他はまだ物語らしい物語はないのだが、松井周さんが語り好きの妖怪であることが示唆されたり、みきさんと隣人のまきさんが同一視されたり、それまでの物語の前提が揺らいでいく。もともと同会というには年齢も違う。 ...
詩的なモノローグを重ねてゆくこれまでの岡崎藝術座とは異なる新機軸に挑戦している。それが何かというと「能」だ。 難民的な境遇で日本にいる外国人男性が夜湖で釣りをしていると琵琶(実際は琵琶の画像が写ったタブレットに木の枠と柄がとりつけられたもの)を拾う。すると女があらわれ漁師の祖父(ジジー)と暮らす身の上を語り、この湖に移入され固有種を駆逐して繁殖しているブルーギルの話をする。それは「天皇」が海外から連れ帰ったもので。今ではそのことを血の涙を流して後悔しているのだとという。女は「島」にいって遊びましょう、と男を誘い、男、女、ジジー(声だけ)の三人は舟で島へとたどり着く・・・・・・。 ...
全編アルゼンチン出身(1人はブラジル。セリフが少なかったのはスペイン語が母語ではないせいかもしれない)の俳優たちのスペイン語による公演で英語と日本語の字幕がついた。 ...
プリミティヴで奇怪な面をつけた俳優5人がひとりずつ舞台にあらわれ全員揃ったところで、一斉に足を踏み鳴らし、面の裏からどこから出しているかわからない奇妙な音を発し民族音楽のセッションみたいになる。それが収まるとともに突然一人が朗々と語り始める。 ...
はじめての岡崎藝術座。 日系移民の子孫としてペルーで生まれ日本で育った作・演出の神里雄大さんの私小説的な作品だ。沖縄の親戚と祖先の墓からほとんど記憶にないが生まれ故郷であるペルーに祖母を訪ねた自分のルーツをたどる旅を題材に、日本出身で左翼弾圧から逃れて世界中を転々とした末メキシコ演劇の父と呼ばれるようになった佐野磧をイマジナリーフレンド的に登場させる。 ...