城山羊の会『あの山の稜線が崩れてゆく』

前作は架空の国の設定でリアリティが感じられず入り込めなかったのだが今回は現代日本の一般的な家庭が舞台。父、母、高校生の娘、の三人家族に、今日は家庭教師の先生(男)がきている。成績があがったお祝いにみんなで外食にいこうという話になるが、そこに予期せぬ訪問者がやってきて……。

ちょっと領土問題のメタファーが感じられた。

現実のこれがもしこうだったらとありえない想像をして、それによって幸福を確認するということは、多かれ少なかれ誰もがやっていると思うけど、それが現実になってしまうという悪夢。その悪夢特有の浮遊感にドライブされて、物語は進行していき、ブラックなユーモアに笑い転げている間に、唐突にラストのほのぼのなシーンに到達してあっけにとられる、あっという間の90分だった。

作・演出:山内ケンジ/こまばアゴラ劇場/自由席3200円/2012-12-01 19:30/★★★

出演:岸井ゆきの、本村壮平、石橋けい、古屋隆太、永井若葉、岡部たかし、猪野学