青年団『平田オリザ演劇展 vol.2 隣にいても一人 関西編』

作・演出：平田オリザ／こまばアゴラ劇場／自由席2500円／2012-04-14 19:30／★★★

出演：永井秀樹、二反田幸平、井上三奈子、端田新菜

おかしくてペーソスにあふれた不条理演劇。カフカの『変身』のモチーフを受け、ある男女が朝目覚めたら突然「夫婦」になっていたという話。「夫婦」という中にセックスを含めて具体的な中身はまったくなくて、二人はただ「夫婦」という言葉だけを確信しているという状態。二人はそれぞれの兄と姉に相談する。この二人は夫婦で、つまりこの男女も姻戚関係にあったわけだ。兄と姉の結婚は破綻しようとしている。二人の夫婦関係は、なぜうまくいかないかというところを含めて、内実が感じられ、痛切にそれが伝わってくる。それとまったく空虚な「夫婦」の対比がおもしろい。兄と姉が帰り、二人だけになった舞台に、なにか「夫婦」というみたこともない奇妙な生きものがいるように感じられ、平田オリザの仕掛けの奥深さにびびった。