平田オリザ演劇展 Vol.1『マッチ売りの少女たち』

原作:別役実、構成・演出:平田オリザ/こまばアゴラ劇場/自由席2500円/2011-05-01 15:00/★★

出演:篠塚祥司、大崎由利子、兵藤公美、山本雅幸、荻野友里、立蔵葉子、二反田幸平、木引優子、鄭亜美、島田桃依

別役実初期の戯曲から『マッチ売りの少女』を中心にして『象』、『AとBと一人の女』などをコラージュした作りになっているそうだ。老夫婦が夜のお茶の準備をしていると、見知らぬ少女がやってきて、一緒にお茶をいただいてもいいですかという。しばらく要領を得ないやりとりが続いた後、突然彼女は自分が彼らの娘だといいだす。ところが、彼らの娘は幼いときに電車の事故で死んでいるはずなのだ。

とここまではたぶん別役実の原作通り。近所の主婦たちや市役所の人たちが入れ替わり立ち替わりやってきたり、少女が3人(!)いるというところが平田オリザのオリジナルだと思う。1997年初演ということもあってか、彼の若さを感じる。若干遊びすぎたかな思うところはあって、たぶんもう少し短く刈り込んだ方がシャープになった気がする。

青年団で要注目の若手女優陣3人がマッチ売りの少女たちを演じて、一堂に会しているところが見られるのが、本公演の魅力の一つだ。木引優子さんは、表情を百面相のように自由自在に操って、天性のコメディエンヌぶりを披露していた。荻野友里さんの凛として透明感のある演技に引き込まれる。ふだん抑制しているだけに、鄭亜美さんのきれた演技には鬼気迫るものを感じる。三人ともそれぞれの個性が引き立っていた。

いうまでもないが、老夫婦を演じたベテラン二人の演技もすばらしかった。