チェルフィッチュ『フリータイム』
作・演出:岡田利規/スーパー・デラックス/自由席3500円/2008-03-08 18:30/★★★
出演:山縣太一、山崎ルキノ、下西啓正、足立智充、安藤真理、伊藤沙保
駅のすぐそばのファミレスが舞台(椅子とテーブルの床から50cm以上だけ再現した斬新な舞台美術)。
もっとも主要な登場人物は、そのファミレスに毎朝客として訪れ、ドリンクなんでも1杯160円のメニューを注文する女性(いつもの岡田利規作品と同じで、複数の俳優によって、本人のモノローグと、他者による再現、想像がシームレスに混じり合った形で演じられる)。彼女はそこで日記を書きながら(ときにはただノートをペンでぐるぐる塗りつぶしたりしながら)かっきり30分の「フリータイム」を過ごしてから出勤する。いつかそれを1時間や1時間半に延長して、会社を遅刻してみようかと、彼女は考えているのかもしれない(とまわりの人たちは想像する)。そうすればよりフリーになれるんじゃないかと。だが、実際彼女にはそんなことをする必要はなくて、それはかつてその30分の間に永遠を経験したことがあったからだ。
この30分という時間設定がとてもリアルで、ぼくの経験でも、永遠に一番近い時間は30分だと思う。
特に前半テンションが低いまま進行するので、(ぼくの体調のせいが大きいが)不覚にもまどろみ状態に陥りそうになった。だが15分の休憩(上演時間的には休憩は全然不要にもかかわらず)のおかげで盛り返し、後半のクライマックスについてゆくことができた。あと、こちらが慣れてきたせいかもしれないが、今回は俳優の動きが比較的おとなしめで、いつものように話している台詞を裏切ろうとするのではなく、逆に協調しているような感じがした。
スティーヴ・ライヒみたいでミニマルなサンガツの音楽もよかった。