青年団国際演劇交流プロジェクト2007『別れの唄』

青年団国際演劇交流プロジェクト2007『別れの唄』

作:平田オリザ、演出:Laurent Gutmann/シアタートラム/指定3500円/2007-04-07 19:00/★★★

出演:山内健司、角舘玲奈、太田宏、Adrien Cauchetier、Bruno Forget、Annie Mecier、Yves Pignot、Catherine Vinatier

俳優の割合は日仏3対5だが、台詞は9割方フランス語で話され、日本語字幕が舞台上部に表示される(たいてい俳優が台詞をすべていい終わる前に字幕が表示されるので、観客の笑いのタイミングがずれて俳優が演じづらく感じることがあったかもしれない)。

畳がしきつめられた古い日本家屋。フランス人の妻の通夜の席に、妻の家族たち(もちろんフランス人)が集まっている。それをもてなす日本人の夫とその妹。湿っぽさはなく笑いが絶えない舞台だった。

もともとフランス向けに書かれた戯曲なので、フランス人側の視点で日本人の不可解な点が主に描かれている。日本独特の風習はちょっと誇張されているようにも感じたし、フランス人は合理的な面ばかりが描かれているように感じた。「分かり合えない」ということばがチラシやパンフレットに書いてあったけど、日本人のぼくの目からみると、お互い十分に分かり合えているようにみえた。たぶん、フランス人からみるとどうしてもわからない何かがそこにあるのだろう。その「分かり合えない」ということを前提にすると、妹由希子がふと口にする兄嫁が好きじゃなかったということばは、大きな重みをもってくる。悲しみよりもむしろ憎しみの方が普遍的に通用してしまう感情なのかもしれない。