innerchild『PANGEA』
作・演出:小手伸也/青山円形劇場/指3200円/2006-03-11 19:00/★★★
出演:真柄佳奈子、小手伸也、太田緑・ロランス、吉田晋一、土屋雄、杉浦理史、古澤龍児、町田カナ、菊岡理紗、伊藤修子、中谷千絵、宍倉靖二、富樫舞、狩野和馬、櫻井無樹、秋山ひとみ、三宅法仁、前田剛、石川カナエ(声)
2001年に上演した舞台の再演。
心理カウンセラーが目覚めてみると、自分の患者である多重人格の女性の心の中だったというところから物語ははじまる。そこはひとつの島であり、彼女のさまざまな人格たちが暮らしている。カウンセラーは治療のため人格たちの対話を試みるが、そこに彼の前任者のカウンセラーがあらわれる。
思わずひきこまれてしまう導入部だが、中盤はちょっとなかだるみだ。患者の女性の発病の原因をさぐる部分も妙に図式的でありきたりに思えた。
だが終盤はみごとに盛り返して、序盤の緊張感につなげた。すばらしいエンディングだと思う。
小出伸也の作品はセリフにいまひとつ力がないという人もいて、それはその通りだと思うけど、でも物語のアイデアがとにかく秀逸だ。今回も人格の分裂・統合を大陸の分裂・統合に比喩していて、PANGEAというのは3億年前ほとんどの大陸がひとつに統合された超大陸の名前だ。彼の本棚にはその手の本が積み上げてあるとみた。