オールツーステップスクール『メイキング・オブ・チェーンソー大虐殺』

作・演出:浅野普康/駒場アゴラ劇場/自2000円/2005-05-07 19:00/★★★

出演:笠木泉、高山玲子、井苅イガリ、足立智充、本田麻紀、柳沢茂樹、いせゆみこ、関寛之、南波典子、佐伯新

三歩進んで二歩さがる的な同じ言葉を繰り返す台詞回しがとても斬新だ。言葉を異化することによって場を生かすなんていかしている。

絨毯の色は情熱と嘘の色、赤。その上に横たわる女性。殺されてしまったにも関わらず彼女は話し続ける。そんな彼女の言葉をたどるように、舞台は彼女の死から数日前、東京から新幹線を使って一時間くらいのところにある長野県の小さな町に移る。別にそこで何が起きるわけでも彼女の死の謎が解き明かされるわけでもない。塾講師とその妻、工場を首になった怪しい男二人、フリーターの若い男女、塾講師の昔の教え子らしい若い女、ドキュメンタリー映画を撮るクルー、よくわからない眼鏡の女性が入れ替わり立ち替わりあらわれては、不思議なリズムの言葉をなげかけてくる。

舞台の上では死とセックスは描けないとよくいわれるが、今回のセックスシーンはかなり秀逸かもしれない。女が指で作った輪の中に男が指を出し入れするという下品なことを繰り返しているのだけど、その間例の不思議なリズムの言葉をやりとりしているのだ。

物語の広がりとしては前作の『キャンプ前』の方がよかったけど、今回は物語性を犠牲にした分まとまりがあったと思う。