オールツーステップスクール『キャンプ前』

作・演出:浅野晋康/渋谷ギャラリー ル・デコ/自由席2000円/2004-01-16 19:30/★★

出演:笠木泉、高山玲子、持山優美、井苅智幸、足立智充、柳沢茂樹、関寛之、いせゆみこ、佐伯新

2000円というとようやく名前が知れてきたかなというレベルの劇団の価格帯だが、出演者は遊園地再生事業団の宮沢さんの芝居で活躍している人たちという、お得感にひかれて観にいくことにした。作・演出の浅野という人も2003年1月の『トーキョー・ボディー』で映像を担当していた人だ。

会場は芝居のためのものではなくギャラリー用なので、舞台というのはなく、同じ平面上であるところから先が劇の空間というようになっている(正確には「台」はないけど「舞」(ダンスシーン)はあった)。おそらく、こういう場所にしたので、チケット代を安く設定できているのだと思う。

浅野という人は宮沢さんのかなり忠実なフォロワーといっていいと思う。単にスタイルをまねただけでなく、エッセンスがちゃんと受け継がれている。観客の想像力を信頼しているセリフまわしもいいし、エピソードも盛りだくさんで、タイミングも緊張感をそがないように計算されている。

湖のほとりの街に住む、元超能力少年、今はスプーン曲げができるだけのダメ男という兄、教師の姉、バイトと男にあけくれる妹、進路の決まらない大学生の弟の4人兄弟が中心人物。昔家を出た父親の義理の娘だという女性がドキュメンタリー映画を撮らせてくださいといってたずねてきたり、姉の勤める学校で130人の生徒が忽然と行方不明になったという過去の出来事が浮かび上がってきたり、そのたった二人の生還者のうち一人の死体が湖で発見されたりと、さまざまな出来事がふりかかってくる。そんな中、家を売るという話がもちあがり…。

ストーリーがめまぐるしく展開して楽しいのだが、風呂敷を広げすぎて、若干焦点がぼけたような気がしないでもない。うまくはまればとてもすばらしい作品ができるのはまちがいないと思うので、今後の期待大だ。