川端裕人『ドードーをめぐる堂々めぐり - 正保四年に消えた絶滅鳥を追って』
ドードーといえば絶滅した鳥の代表格で、『不思議の国のアリス』などさまざまなフィクションのなかに登場する飛べない鳥だ。インド洋の無人の孤島モーリシャス島に生息していて1598年にオランダの探検隊に発見され、1662年には絶滅したとされている。人間の直接的な捕獲より島に移入された猿やネズミなどによる個体や卵の捕食による影響が大きかったようだ。
本書は、大きく3部構成だ。
第一章はドードーが絶滅まで間のない1647年に日本の長崎出島に来たことがある、という最近明らかになった事実を受けて、そのドードーがその後どうなったのかという謎に迫る。
第二章は著者自らヨーロッパ各地を巡ってドードーの残された痕跡を探す。
第三章はいよいよドードーの生息地だったアフリカ大陸東岸の孤島に出向いてドードーの化石や亜化石を探す。
「堂々めぐり」という言葉が示すようにこれらの探索はどれも目立った成果をあげられないまま終わる。ただ、それで残念とか物足りないとかはなく、網羅的にさまざまな角度から眺められたことによりドードーやその他の絶滅動物に対する解像度があがった気がする。久しぶりに好奇心を満足させられる楽しい読書だったが、同時に無邪気に数多くの動物を絶滅させてきた人類の業の深さにも思いを馳せた。
ちなみに『不思議な国のアリス』のジョン・テニエルによるドードーの挿絵やそのもととなったルーラント・サフェリーによるでっぷりと太ってユーモラスなドードーは、実際の姿と異なることがわかっているそうだ。もっとスリムらしい。また、ドードーはハトに近縁らしい。
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