古川日出男『gift』

gift (集英社文庫 ふ 23-3)

10ページほどの掌編が20個つまっている。リズミカルな文章で語られるのは、物語の骨格から自由で、変形自在のインプロヴィゼーションだ。雨の話とか暗いトーンの話もあるのだが、全編を通すと、なぜだか穏やかな日向の風景が思い浮かぶ。長大な『アラビアの夜の種族』と比べると古川日出男という小説家は実は二人いるような気がしてきた。