夏目漱石『虞美人草』

夏目漱石の代表作のひとつなのにその存在を忘れていた。朝夢現のときにテレビで内容を紹介していて読もうと思ったのだった。 漱石が教師を辞めて朝日新聞社に入社し作家専業になって書いた最初の作品だ。漢文がベースの流麗な表現がちりばめられていて美しさを感じるものの、現代人(ぼくのことだ)にとっては意味のとりづらい箇所があったりした。 ...

夏目漱石『行人』

この劇の元ネタということで、ひさしぶりに再読。劇は小説から弟が兄の妻と同じ室に一泊するというシチュエーションを借りているだけで全く別物のつもりで見ていたが、あらためて小説を読むとセリフや人物設定など思ったより引用されているのだった。 この時代の小説を読むといつも意外に感じるのが生活水準の高さだ。食後のプリン(プジング)なんかがふつうに出てくる。休みなども今より断然多くて、平気で数週間の旅行に行ったりできるし、文化的活動に多くの時間を費やしている。もちろん、それは登場人物の階層が高いからそうなのであって、一般庶民の生活はこうはいかないだろう。でも新聞小説として連載されたものなので、新聞購読者の平均からそうは隔たってないはずだ。それから数十年後にあの愚かな戦争に一丸となって突入したことが信じられない。 ...

夏目漱石『草枕』

山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角にこの世は住みにくい。 ...

夏目漱石『私の個人主義』

漱石が満州で行った幻の講演の内容が明らかになったというニュースが耳新しい今日この頃、ではまずとうの昔に発見済みの講演を読んでみようと思った。 ...

夏目漱石『吾輩は猫である』

ラストで猫が死ぬ話はやだなと思ってずっと避けてきたのだけど、考えてみればラストで人が死ぬ話は数多く読んできたし、この間などはラストに犬が死ぬ話までも読んでしまった。猫だけ特別扱いするのも理に適わないので、このあたりで目を通しておくことにした。 ...

夏目漱石『それから』

宮藤官九郎脚本の昼ドラ「吾輩は主婦である」にすっかりはまってしまい、久しぶりに夏目漱石の小説が読みたくなった。一時期青空文庫でまとめて作品を読んだことがあったが、この『それから』はその当時まだ収録されておらず、未読だったのだ。 主人公の代助は今でいうところのニート(マスコミやネットで流れている虚像の方。実際のニートは悲惨だと思う)だ。学校を卒業してからも職に就かず、親の金でそれなりに優雅で自由な生活をしている。読み進めると、舞台になっている明治末期は現代と世相がとてもよく似ているのがわかる。ある程度豊かな階層の人々は、文化的、物質的に今とあまり変わらない(ゆとりという点では今以上の)生活ができたようだ。 ...