村田沙耶香『変半身(かわりみ)』

松井周×村田沙耶香のコラボ企画。松井周による舞台をみたので、当然のこととして村田沙耶香による小説版も読んでみた。 演劇版と共通するのは千久世島という離島が舞台であることと、「もどり」という秘祭の存在くらい。芝居ではけっこう重要な役割を果たした、ボーボー様とボビ原人というこの島に伝...

村田沙耶香『地球星人』

家族や周囲の社会になじめない奈月は、周りの人間を地球星人と呼び、恋愛と結婚を促し、子供を産ませようとする周りの社会を「工場」と呼んでいた。そこでは奈月の子宮は新たな人間を製造するための道具に過ぎないのだ。 序盤、奈月は小学生で、性的虐待をしようとする塾講師の存在や家族の無理解が、ま...

村田沙耶香『消滅世界』

人工授精が一般化しセックスによる生殖が行われなくなった並行世界の日本が舞台。夫婦は人工授精で生まれた子供を育てるための姉弟や兄妹のような関係で、夫婦間でセックスをすることは「近親相姦」と呼ばれてタブーとなり、それぞれ別に恋人(リアルの人間の場合もあればフィクションのキャラクターで...

村田沙耶香『コンビニ人間』

コンビニのスイーツみたいにぺろりと読んでしまったが、けっこう個人的に身につまされる作品だった。 幼い頃から周囲の人間たちが理解できず溶け込むことができなかった主人公古倉恵子は、大学生の時にコンビニ店員という職業と巡り会い、30代後半になっても就職も結婚も恋愛もせずずっとアルバイトで...