加藤陽子『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』

読み始める前は全く意識してなかったが、もうすぐ終戦記念日。いいタイミングで読むことができた。 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』と同じく中高校生に対して行った講義をまとめた本。『それでも』は、明治維新以来日本が関わった4つの戦争について、その意思決定を取り上げた本だが、今回はその中で最大で最悪の戦争、太平洋戦争(前哨戦の日中戦争を含む)に絞って、そこに至るまでに引き返せたかもしれない3つのターニングポイントの交渉における意思決定を扱っている。その3つとは、リットン報告書への対応、三国同盟締結、日米交渉だ。 リットン報告書は1931年の満州事変から翌年の満州国建国という事態を受けて国際連盟の調査団が作成した報告書。かなり日本の状況に配慮した内容だったにもかかわらず、日本は報告書を受け入れず国際連盟脱退を決断する。 ...

山下範久編著『教養としての 世界史の学び方』

具体的な世界史上の出来事ではなく、世界史を記述する歴史学という学問がどういうもので、その記述としての世界史は現状どうあるべきであることになっているかということについてのメタな本。もともと歴史学を学ぼうとする学生の教科書として企画されたというのも頷ける。 ...

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』

現生人類すなわちホモ・サピエンスの誕生から現代までの歴史の流れを3つのターニングポイントを軸に説明している。その3つとは、認知革命、農業革命、そして科学革命だ。 ...

君塚直隆『ヨーロッパ近代史』

ルネサンスから第一次世界大戦までの「ヨーロッパ近代」の歴史を、各時代の主要人物をひとり選び、その人生をたどることによって浮かび上がらせようとしている。 ...

呉座勇一『陰謀の日本中世史』

タイトルには「中世」とあるが、扱われている時代はもう少し広くて平安末期から関ケ原の合戦まで。第一章が保元の乱と平治の乱、第二章が平氏の滅亡・鎌倉幕府成立と義経討伐、第三章が鎌倉時代の陰謀、第四章は鎌倉幕府崩壊から室町幕府初期、第五章は応仁の乱、第六章は本能寺の変、第七章は関ヶ原の合戦。それぞれの戦乱に関して「結果から逆行して原因を引きだす」陰謀論が紹介されている。そして終章は「陰謀論はなぜ人気があるのか?」と題して陰謀論の特徴と人々がそれを信じてしまう理由を分析している。 ...

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

刊行されたのはもう2年近く前だけど、東日本大震災と原発事故のコンボで第二の敗戦なんていう向きがある昨今、なかなかタイムリーな本だった。 ...

小田中直樹『歴史学って何だ?』

少子高齢化のおり、人文系の学問に対して、そんな役立たないもの学んでどうするのというような風当たりが強くなりつつある。本書はその標的のひとつといっていい歴史学について、存在意義を解き明かそうとしている。具体的には、ほんとうに史実を明らかにできるのか、そしてそれは社会の役にたつのかという、二つの問いに答えようとしている。 ...