加藤陽子『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』

読み始める前は全く意識してなかったが、もうすぐ終戦記念日。いいタイミングで読むことができた。 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』と同じく中高校生に対して行った講義をまとめた本。『それでも』は、明治維新以来日本が関わった4つの戦争について、その意思決定を取り上げた本だが、今回はそ...

山下範久編著『教養としての 世界史の学び方』

具体的な世界史上の出来事ではなく、世界史を記述する歴史学という学問がどういうもので、その記述としての世界史は現状どうあるべきであることになっているかということについてのメタな本。もともと歴史学を学ぼうとする学生の教科書として企画されたというのも頷ける。 第I部は『私たちにとっての「...

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』

現生人類すなわちホモ・サピエンスの誕生から現代までの歴史の流れを3つのターニングポイントを軸に説明している。その3つとは、認知革命、農業革命、そして科学革命だ。 サピエンス(本書に習って以下ホモ・サピエンスをこう呼ぶ)は7万年前から3万年前にかけて突如として認知的能力が向上し、新し...

君塚直隆『ヨーロッパ近代史』

ルネサンスから第一次世界大戦までの「ヨーロッパ近代」の歴史を、各時代の主要人物をひとり選び、その人生をたどることによって浮かび上がらせようとしている。 ルネサンス: レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519) 彼は芸術家であると同時に軍事技術者だった。 宗教改革:マルティン・ルター(...

呉座勇一『陰謀の日本中世史』

タイトルには「中世」とあるが、扱われている時代はもう少し広くて平安末期から関ケ原の合戦まで。第一章が保元の乱と平治の乱、第二章が平氏の滅亡・鎌倉幕府成立と義経討伐、第三章が鎌倉時代の陰謀、第四章は鎌倉幕府崩壊から室町幕府初期、第五章は応仁の乱、第六章は本能寺の変、第七章は関ヶ原の...

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

刊行されたのはもう2年近く前だけど、東日本大震災と原発事故のコンボで第二の敗戦なんていう向きがある昨今、なかなかタイムリーな本だった。 タイトルからてっきり一般の日本人が戦争の時に何を考えたかと本かと思っていたが、明治維新以来日本がかかわった戦争について、日本や関係国の為政者や軍人...

小田中直樹『歴史学って何だ?』

少子高齢化のおり、人文系の学問に対して、そんな役立たないもの学んでどうするのというような風当たりが強くなりつつある。本書はその標的のひとつといっていい歴史学について、存在意義を解き明かそうとしている。具体的には、ほんとうに史実を明らかにできるのか、そしてそれは社会の役にたつのかと...