『アメリア』 by Joni Mitchell

1937年に世界一周飛行中に行方不明になった女性飛行士の草分けアメリア・イアハートが乗ってた飛行機の残骸と思われるものが海中から発見されたというニュースがとびかっているので、彼女をテーマにしたジョニ・ミッチェルの名曲『アメリア』を訳してみた。

灼けた砂漠で車を走らせてたら
6機のジェットが
6つのひこうき雲を残していった
荒れ果てた土地いっぱいに
それは天上の六芒星
それはわたしのギターの弦
アメリア、でもそれは火のないところにたつ煙

飛行機のエンジン音は
ワイルドでブルーな歌
きいたあとは時間と季節がごちゃまぜになり
人生は絵はがきをはりつけた旅行記になる
アメリア、でもそれは火のないところにたつ煙

みんな行ったところやこれから行く場所の話をする
でも自分で行かないとほんとうのところはわからない
誰かにとっては天国でも別の人にとってはひどい場所
アメリア、でもそれは火のないところにたつ煙

今夜、ここに彼がいてほしい
距離をおこうという彼の願いに
従うのはつらい
これがわたしの痛みの隠し方
道は呪いと恵みにつながっている
アメリア、でもそれは火のないところにたつ煙

悲劇の飛行
彼女は空に飲み込まれた
あるいは海に
わたしと同じく彼女の夢は飛ぶことだった
イカロスが美しく馬鹿げたかっこうで空にのぼったみたいに
アメリア、でもそれは火のないところにたつ煙

たぶんわたしは愛したことがなかった
凍っている高い雲のなかから
すべてを見下ろしていた
彼の腕のなかに墜落するまで
アメリア、でもそれは火のないところにたつ煙

カクタスツリーモーテルに飛び込んで
ほこりを洗い流した
旅の友の変な枕で眠った
そして幾何学的な農地の上を飛ぶ747を夢みる
夢は、アメリア、夢は火のないところにたつ煙