OLの制服

Q

世の中で制服姿というのは、そんなに珍しいものではありません。

学校、警察官、自衛隊、看護婦、工場での作業着・・・・etc

男女、それぞれの職業にふさわしい制服がそれなりに出来上がっていて、それなりの機能を果たしているのだろうと思います。

ただ、唯一疑問に思うのは、多くの会社で女子社員だけが制服を着ているというパターンが、日本では当たり前のようになっていることです。

外国映画など見ていて女性が私服姿で働いている姿を見ると、何時も日本のOLの制服姿に何ほどの効果があるのかと考えてしまいます。

(私を含めて制服フェチな方には確かに効果的だろうとは思いますが)

正当な理由があれば、外国に倣う必要などありませんが、この慣習について薀蓄が いただければと思っています。(ダリさんからの質問)

A

平凡社世界大百科事典には以下のように書いてありました。

『女子労働者の制服の先駆けをつくったのはナイチンゲールで、1860年ころ、彼女の病院で働く看護婦に当時流行していたクリノリンの着用を禁止し、スカートの上から白いエプロンをつけさせた。(中略)

日本では昭和初期に自動織機に導入されるまでは紡績工場の女子労働者は、和服にたすきがけやエプロンがけといった服装で働いていたが、機械化による危険性から帯が禁じられ、二部式の洋服(上衣にぶるまーずやズボン)を着用させたり、あるいはあたらしい作業衣がさだめられたりした。第1次・2次世界大戦は女子の職場進出をうながしたが、和装の上から着用できる袖と身ごろのゆったりとした事務服は、大正から昭和にかけて近代的なビルで働く女性を象徴するものであった。第2次世界大戦中のバス車掌の軍服に似た紺色の制服も同様であった。戦後、洋装化がすすみ、とくに1960年代以降、各企業は、そのイメージづくりや労務管理の一環として、競って女子労働者の制服を定めるところが多くなった。』

もともとは和服を着ていることによるなにがしかの不都合(帯が危険とか汚れるとか)があって、それをとりのけるという目的があったようです。

戦後洋服が普及してからは、企業の側からは「イメージ作り」が主たる理由のようですね。また女性の方にも「あの会社の制服が着たい」というような憧れがあったかもしれません。その裏には、女性は所詮お飾りというような差別的な考え方があったのは間違いないでしょうね。

今現在、女性にのみ制服があるというのは差別以外の何ものでもないでしょう。女性だけが当番でお茶くみをしている会社もまだまだ残っているようなので、そういう差別的風土の根絶は難しいようです。ただ、ある職種に制服が定められていて、それがたまたま女性ばかりというケースは一応セーフだと思うので、その区別がむずかしいところです。