スピノザと日本

Q

17世紀オランダの哲学者スピノザが日本に関して言及していると話をききました。その頃日本は江戸時代で鎖国していたはずですが、どんな形で言及されているのでしょうか?

A

スピノザが活躍した頃の日本は四代将軍徳川家綱の時代で、鎖国体制の下、幕藩体制が安定してきた頃です。鎖国とはいっても例外的にオランダとの間では貿易が行われていたので、スピノザの元にもなにがしかの情報が入っていたのでしょうね。

すべての著作をチェックできたわけではありませんが、とりあえず発見できたのは、『神学・政治論』の第5章です。キリスト教の儀式を行うことと幸福との間に関連はないという文脈で、一例として、キリスト教が禁止されている日本で暮らしているために儀式を行うことができないオランダ人について触れています。

We have an example of this in Japan, where the Christian religion is forbidden, and the Dutch who live there are enjoined by their East India Company not to practise any outward rites of religion. (R. H. M. Elwesによる英訳)

これが日本に関する言及といえるかどうか微妙なところですが、スピノザは少なくとも日本という国の存在とキリスト教が禁止されていたことは知っていたんですね。