劇団東京乾電池 ET×2『ゴドーを待ちながら』

ゴドーを待ちながら

いとうせいこう作の『ゴドーは待たれながら』を先にみてしまったこともあり、元ネタである『待ちながら』も見なくてはいけないと常々思っていてようやくその機会がやってきた。柄本兄弟によるウラディミール(ディディ)とエストラゴン(ゴゴ)。

不条理演劇の古典中の古典だ。古典に退屈なものなし、という自作の格言の通り、二人の男がゴドーを待っていて結局ゴドーはやってこない(ネタバレ)というシンプルなストーリーなのにまったく退屈せずスリリングでさえあった。この戯曲が書かれたのは第二次大戦終結後数年後。ゴドーは明らかにゴッド(神)の象徴であることは間違いないとしても、ベケットがそれで何を表現しようとしたのか、こうやって上演をみてみてもよくわからない。

ディディとゴゴの関係性も、互いに相手の存在を必要としていながら、ことあるごとに別々に行動した方がお互いのためなんじゃないかという疑念に常に駆られる不思議な関係性だ。性格がまるで違う。義務感が強く思索的なディディに対し、ゴゴは欲求に忠実で刹那的だ。ある意味ディディは長男的性格、ゴゴは末っ子的性格で、この二人をほんとうの兄弟が演じるというのはおもしろかった。二人の演技も悪くないと思ったけど、脇の山根博さん、綾田俊樹さんの安定感がよかった。

作:サミュエル・ベケット(翻訳:安堂信也、高橋康也)、演出:戸辺俊介/ザ・スズナリ/自由席3500円/2014-08-09 19:00/★★★

出演:柄本佑、柄本時生、山根博、荒川楽、綾田俊樹