『ポリグラフ 嘘発見器』
<img src=“http://i2.wp.com/asharpminor.com/wp-content/uploads/2012/12/polygraphe.jpg?resize=171%2C240" alt=“polygraphe” class=“alignleft” wp-image-3820” data-recalc-dims=“1” />
カナダのフランス語圏ケベックで活躍する Robert Lepage の映像作品の舞台化。未解決の女性惨殺事件の関係者3人が登場人物。被害者女性をモデルにした映画のヒロインに抜擢された女優ルーシー、ルーシーの隣人で偶然被害者女性の友人で第一発見者でもあったゲイ男性フランソワ、そしてフランソワの供述を嘘発見器でテストした犯罪学者デイヴィッド。デイヴィッドは旧東ベルリン出身で壁を越えてやってきた移住者だ。
演出は吹越満。みているときは原作に忠実なのだろうと思っていたが、3人芝居に再構成するためにかなり大胆に手が加えられているようだ。その手際や、映像を多用した(映像にクレジットされているムーチョ村松の力も大きい)スタイリッシュで緻密な舞台構成、全裸や、椅子を使ったアクロバットなど観客をぎょっとさせる衝撃的なシーンの数々、とてもとても初演出とは思えなかった。
若干異物感のある題材だったとは思う。よくも悪くもその異物感をそのまま舞台に上げていた。(原作ではどうかわからないが)最終的には嘘発見器の結果を被験者に伝えないことの倫理が壁をひとりでのりこえてきてしまったことの倫理が重ね合わせで問われるのだけど、このあたりの形而上学的といっていいような罪の感覚は相当補助線を引かないと実感できない。
鈴木羊の音楽もライ・クーダーみたいでよかった。
脚本・構想:Marie Brassard, Robert Lepage(翻訳:松岡和子)、演出:吹越満/東京芸術劇場シアターイースト/指定席5000円/2012-12-22 19:30/★★★
出演:森山開次、太田緑ロランス、吹越満