劇団アンパサンド『歩かなくても棒に当たる』

歩かなくても棒に当たる

岸田戯曲賞受賞作の再演。本作もまた、これまで観た作風に連なる一本だ。女性たちが下の名前で呼び合う親密な日常のインナーサークル。その閉じた空間に、気づけば亀裂のように異物が入り込み、少しずつ不穏が広がっていく展開だ。もっとも、受賞作ではあるものの、これまで観てきた同系統の作品群の中で、傑出しているかと言われると微妙だ。

舞台は団地のゴミ集積所。収集時間を過ぎ、出し損ねた住民たちがゴミ袋を手に三々五々集まってくる。かつては自治会長のサナエが時間厳守を徹底し、少しでも遅れれば持ち帰らせていた。しかし彼女が事故で亡くなって以降、その規律は徐々に曖昧になっている。そんな中、引っ越してきたばかりのユウコが、突如肩に重みを感じ、意識を失う……

おそらく戯曲賞を獲った理由の一つには「ルール」というテーマの社会批評的な側面への評価があったのてはないか。無意味なルールを振りかざし、それが自己目的化している人が、より根源的なルールによって退散させられるという皮肉な展開。実際のところそこにどれだけの批評性が込められているのかはわからないが、物語を貫く骨格になっているのは間違いない。

ドラマ『シナントロープ』でのエキセントリックな役柄で知った川上友里さんの存在感が圧倒的だった。作品のテーマがやや霞んで見えた瞬間もあったかもしれない。それほどの存在感だった。

作・演出:安藤奎/東京芸術劇場シアターイースト/指定席4500円/2026-02-22 14:00/★★

出演:川上友里、安藤輪子、西出結、安藤奎、鄭亜美、永井若葉