城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』

城山羊の会の下ネタに注目する向きがあるけど、フランス映画の中でもエリック・ロメール作品のような洒脱さが中核にあって、下ネタは下品にならないぎりぎりのところを攻めている気がする。いや、時々下品な時もあるが、その逸脱の感覚がスリリングなのだ。
今回は歌のクラスが舞台。生徒はそこそこ余裕のありそうな中年男性3人。謎に稚拙で猥褻な詩と感傷的すぎるメロディの課題曲を3人がかわるがわる歌うシーンから始まる。作曲者はクラスの教師兼伴奏の朱里の弟で詩人のかえるだ。詩は彼の「友人」が書いて彼に作曲を依頼したものらしい。どうやら彼はその「友人」に対する恋の病にかかって苦しんでいるらしい……。
やはり、城山羊はファムファタル的な登場人物がいると締まる。今回は松本まりかさん演じるはちみつこがそれで、なんというか物語に中心が生まれるのだ。
作・演出:山内ケンジ/神奈川芸術劇場中ホール/メインシーズンパスポート(35700円)/2025-11-15 18:00/★★★
出演:松本まりか、じろう(シソンヌ)、岩谷健司、中山求一郎、湯川ひな、三木万侑加、岡部たかし