劇壇ガルバ『ミネムラさん』

minemurasan

峯村リエさんは、これまで何回も舞台を見てきて大好きな俳優さんだけど、タイトルになっているとは、どういうこと?という感じだったが、思いがけずいい舞台だった。

3人の作家による3つの短編だが、それを順番に別々のものとして描くのではなく、枠物語の構造にして有機的に組み合わせる演出が成功していた。

枠になるのは細川洋平作『フメイの家』というナンセンスコメディー。ある男性が手紙を送ってきたかつての友人を探し出してもらおうと警察に連絡するが、その名前すら思い出せない。目的は脱線し続け、結局はみんなでその名前がわからない友人のzineを作ろうということになる。

他の二つの物語はこのzineのコンテンツということになるかと思われる。行方不明の友人ミネムラさんがメインキャラクターの物語だ。笠木泉『世界一周サークル・ゲーム』は女性二人の数十年に渡る友情を描いたエモーショナルで詩的な作品。山崎元晴『ねむい』は姉妹と赤ん坊のダークな幻想譚。この3編のバランスがすばらしかった。

タイトルになった峯村リエさんはじめ俳優陣がよかった。

作:細川洋平、笠木泉、山崎元晴、演出:西本由香/シアタートップス/前割6000円/2024-09-14 18:00/★★★

出演:峯村リエ、山崎一、大石継太、森谷ふみ、笠木泉、上村聡