岡崎藝術座+那覇文化芸術劇場なはーと『イミグレ怪談』
同窓会ということでやってきた3人がかわるがわる自分の物語を語る。冒頭の松井周さん(役名は役者の名前と同じになってる)はタイに移住してラオスで焼酎工場を経営している。そうなるにいたった経緯を語ろうとしているのだが、次々と脱線して、バンコクで見つけた野外のバーの話から、そこで出会った美女の話になっていく……。二番目は上城みきさんで、沖縄からボリビアに移住した人々の苦難について語る。しんがりは大村わたるさんで、なんとなく東京から沖縄に移住したという設定。学校のスポーツ部活のエピソードの他はまだ物語らしい物語はないのだが、松井周さんが語り好きの妖怪であることが示唆されたり、みきさんと隣人のまきさんが同一視されたり、それまでの物語の前提が揺らいでいく。もともと同会というには年齢も違う。
移住者という立場は共通している、ふつうの意味で「怪談」といえるのは冒頭の松井さんの話くらいでほかはかなりテイストが違う。この話は特に興味深くて本題の焼酎の話をもっと聞きたくなった。
各キャラクターの紹介シーンのダンスがおもしろい。画面の向こうのビアさんがリアルタイムなのが意外だった。
作・演出:神里雄大/東京芸術劇場シアターイースト/自由席3500円/2022-12-16 18:00/★★★
出演:上門みき、大村わたる、ビアトリス・サノ、松井周