青年団リンクキュイ『あなたたちを凍結させるための呪詛』

あなたたちを凍結させるための呪詛

上演時間40分だけど短いという感じがまったくない凝縮された時間だった。

2022年2月、正社員として働く独身女性のモノローグ。注意してたのにコロナに罹患するが回復する。そのあとの物語。たぶんコロナ以前はかろうじて耐えられた、日々の理不尽が耐えがたくなり、呪詛をはく。それは「あなたたち」に向けられているようだ。

「わたしたち」はなにがしかの一体性に基づいた人称だけど、対する「あなたたち」は疎外を前提にしてる。誰もが誰かにとっての「あなたたち」で、たとえば手応えのない彼氏、ハラスメントがすごい上司、ハラスメントを告発する人を退職に追い込む会社、全男性、そして、コロナのため駅で倒れた彼女を助けた人たち。たぶん、例外はなく、誰もがこの呪詛の対象だ。コロナはこの「あなたたち」の存在感を飛躍的に高めた事象だった気がする。

今回は男性俳優が女性のモノローグを語る形だったが、身体から発せられた言葉の生々しさが薄れる分、意味や現代詩的な言葉の連なりに集中できた気がする。オートマチックに灯りや音がOn/Offする演出は空間インスタレーションみたいだった。

作:綾門優季、演出松森モヘー/アトリエ春風舎/自由席2500円/2022-10-29 18:00/★★★

出演:松森モヘー