モメラス『28時01分』

これは演劇ではない

『これは演劇ではない』というフェスティバル参加作品。『28時01分』というタイトルだし、ちょっとはじまる前に間があったので、『4分53秒』的な作品かと身構えたが、むしろどこが演劇ではないのかわからないような完璧に演劇らしい演劇沙品だった。

モメラス名義ではないが松村翔子作、演出という座組で一番最初にみた『こしらえる』に近い、コミカルさとブラックな不条理感が入り交じる舞台。こういうのがみたかった。

松村さん自身が現在妊娠中ということで、妊婦が主人公。彼女が尿意のため真夜中に目覚めると隣家の女性がみかんをもって訪ねてくるというフォーマットが繰り返される。いかにも妊婦がみそうな悪夢の要素が盛り込まれている。妊婦訳の上蓑佳代さんがかわいらしいし、井神沙恵さんは青い鳥に続いて魔女的な役柄がとてもマッチしていた。

赤ちゃんは誰のものではないというメッセージは最後にもってきてもよかったかもしれない。

作・演出:松村翔子/こまばアゴラ劇場/自由席3000円/2019-01-19 19:30/★★★

出演:上蓑佳代、井神沙恵、黒川武彦