お布団の哲学『対話篇』
プラトン『対話篇』の中の一篇『クリトン』が原作。誹謗中傷で死刑に処されようとしているソクラテスを脱走させるために友人のクリトンがやってくるが、ソクラテスは悪法ともいえども法という論理を振りかざして、それを拒絶するという有名な話だ。この舞台では、それが漫才の話に移しかえられている。
落ち目のお笑い芸人が、滞納した家賃の返済のため、断り続けてきた後輩芸人からの援助を受け入れ、その見返りとして二人で漫才をすることを承諾する。
原作の死を受けれてしまう論理に対抗しようとしているのが感じられた。そこで論理を越える枠組みとして、対話を通じても変わらないとされる、好意と憎しみが導入されていた。
漫才シーンのあと、退出=死までの時間を引き延ばそうとする、という構図がなんども繰り返される。実際は繰り返しじゃなく、漫才会場における漫才師、対話篇における対話者、この演劇という枠組みにおける俳優という異なった位相で引き延ばしが行われるんだけど、この部分はかなり難解で、正直集中力が保てなかった。
漫才のネタがシュールでとてもおもしろかった。今回再演なのだが、あらたに書き換えたらしい。
原作:プラトン、作:綾門優季、演出:得地弘基/三鷹SCOOL/二演目チケット4000円/2018-11-10 19:30/★★
出演:緒沢麻友、原田つむぎ、松尾祐樹