Q『地底妖精』
横浜の公演を見損ねたので初のQ。
主人公が人間と妖精とのハーフという立場からのマイノリティの社会論が展開されると思いきや、こういう展開になるとはまったく予想もしてなかった。
雑な二分法を使わせてもらうと、ものをつくる人には、世界を描きたい人と、自分を表現したい人の二種類がいると思う。市原佐都子さんはたぶん後者の人だ。そして今回表現したのは自分の中の隠微でゲスな性的嗜好。
男性(主語が大きすぎるが、現代日本で文化的に男性性を獲得した人)は誰でも自分の中に今回登場したハサミをもったブリーフ男を飼っているはずだ。ただMe Tooの現代、その存在はこれまで以上にその存在は自分の意識の外にでも中でも出てこないようにしている。ちょうど今回の作品みたいにモグラの着ぐるみをかぶって、彼の存在は目に見えなくなっている。そこを反転して女性の側から彼を欲望の対象とされると、何というか、居心地の悪さを感じてしまった。
実質ひとり芝居なんだけど、テンションや声色を使い分け、顔芸を駆使して演じきった永山由里恵さんがとにかくすごい。すごすぎる。
(アフタートークのゲストのサエボーグさんもすごかった。)
作:市原佐都子、美術:高田冬彦、演出:市原佐都子、高田冬彦/早稲田小劇場どらま館/自由席3000円/2018-04-21 15:00/★★
出演:永山由里恵、中田麦平