庭劇団ペニノ『ダークマスター』
アゴラの空間に年季の入った洋食屋のセットが出現していた。客席にはひとりひとりにイヤフォンが用意されている。
大阪のはずれのとある洋食屋。早めに閉店してマスターがひとりで酒を飲んでいるところに旅行者の青年が入ってくる。最初追い返そうとするが結局オムライスまでふるまう。そして唐突に自分が遠隔で教えるからこの店のマスターをやらないかと誘って超小型のイヤフォンを見せる……。
世にも奇妙な物語的なストーリー。見終わってからわかったが、コミックが原作なのだった。後からコミックも読んでみた。基本的なストーリーはそのまま。そこに、個々の観客とのからみなどの細かなエピソード(主に笑い系)が盛られている。また、原作は何が起きたかということに関してかなりあいまいなまま終わるんだけど、この舞台では最後のコマ以降の出来事も描かれている(それでも謎はほとんど残るが)。これに関しては原作通りより想像の余地が多い方が個人的には好みだ。物語がわかりやすくなるぶんありきたりになってしまう。
これも見てから知ったことだけど、今回が三度目の上演で、かなり台本に手をいれて舞台を大阪に変えたとのこと。マスターの強面さと時折みせる優しさ?が大阪弁ととてもよくあっていた。
実際に舞台上で調理するので、みていて洋食が食べたくなった。おいしい洋食の店はありそうでなかなかないのだが。
原作:狩撫麻礼、脚色・演出:タニノクロウ/こまばアゴラ劇場/自由席3700円/2017-02-04 14:00/★★★
出演:FOペレイラ宏一朗、井上和也、坂井初音、大石英史、野村眞人、緒方晋、相馬陽一郎、宮田潤子、飯沼由和、尾崎宇内、岩田博之、廣川真菜美、杉田一起、(吉田雄一郎)