The Shampoo Hat『葡萄』

The Shampoo Hat『葡萄』

作・演出:赤堀雅秋/ザ・スズナリ/指定席3800円/2008-09-13 19:00/★

出演:野中隆光、池谷のぶえ、那須佐代子、日比大介、黒田大輔、吉牟田眞奈、梨木智香、いせゆみこ、長尾長幸、多門勝、赤堀雅秋

殺人を犯して服役していた男が15年ぶりに故郷の村に帰ってきて、幼なじみの夫婦が経営する旅館を訪ねる。女将は男のかつての恋人で、そこで育てられている中学生の息子は男と女将の間の子供だった……。

というシチュエーションから想像されるようなドラマチックな出来事は起きず、いつものように自堕落な時間が流れる。何かを手に入れたりよりよく生きようというという積極的な欲望を欠いた男。かといって絶望しているわけじゃない。最大の望みはがいいウンコをすることだったりするのだ。彼と、幼い頃からおばさんと呼ばれ続けてきた従業員の女性(と書けば誰が演じているのかはわかってしまうが)との触れあいがもう一つの軸だ。

今回の仕上がりはウェルメイド。それ自体全然悪いことじゃないんだけど、居心地の悪さを強調するような彼ら独特の演出だと、かすかにテイストがあわないような感じもするし、今回は、根源的なものに触れるのをやめて収まりのいいところで妥協したような、とってつけた感があって、リアリティーを感じられなかった。

おばさんを演じた池谷のぶえははじめてちょっとかわいいと思ったかもしれない。