『混じりあうこと、消えること』

『混じりあうこと、消えること』

作:前田司郎、演出:白井晃/新国立劇場小劇場/A席5250円/2008-06-28 18:00/★★★

出演:國村隼、橋爪遼、南果歩、初音映莉子

夜の児童公園に葬式帰りの男がやってくる。ベンチに座って黒ネクタイをゆるめていると、奇妙な形の遊具の中から、少年、続いて女性があらわれる。見知った女性だ。男は彼女に「カナ」と呼びかける。さらにピラニアから人間になりかけているというロープでつながれた少女が登場し、女は二人は彼と自分の間の子供だという。こうして彼らのぎこちないつかの間の家族生活がはじまる。

別役実風のおかしくて笑える不条理劇のようなテーストをまじえながら、彼らの神話的な関係が物語られる。そこは心の痛みからの逃避が生み出した場所だったのだ。やがて、彼らはそこから現実世界に戻ることを選択する。

國村隼と南果歩の存在感がすばらしかった。