青年団『ソウル市民1919』

作・演出:平田オリザ/シアタートラム/指定席4000円/2000-06-17 19:00/★★★

出演:山内健司、平田陽子、足立誠、松田弘子、山村崇子、志賀廣太郎、和田江理子、永井秀樹、角舘玲奈、辻美奈子、たむらみずほ、天明留理子、秋山建一、木崎友紀子、松井周、島田曜蔵、月村丹生、高橋縁、大塚洋、太田宏、申瑞季

1998年に観た「ソウル市民」の続編。同じ一家の十年後を描いている。朝鮮人の使用人とかけおちした長男は一家の主におさまっていて、怪しげな女性といっしょに満州にいこうとしていた主人の弟は、映画館を経営して、すっかり商売人になってしまっている。文通相手の到着を無邪気に待っていた次女は、植民地の支配者という立場から、嫁という虐げられた立場になるのが我慢できずに、本土の嫁ぎ先から出戻っている。屋外ではおりしも朝鮮人たちが、独立を求めてデモを行なっているが、日本人の登場人物は誰もそのことを認識できない。前回のテーマをより具体化したような舞台だ。冒頭近くで歌われる朝鮮の歌には、鳥肌がでるほど心を動かされ、ラストの、東京節の歌詞をソウル(当時の名前は京城)に移し変えた歌はとても楽しかった。