オールツーステップスクール『ラブストリーム・ノートブック』

作・演出:浅野普康/三鷹市芸術文化センター/指2500円/2005-10-22 19:00/★★

出演:笠木泉、高山玲子、持山優美、井苅イガリ、足立智充、柳沢茂樹、いせゆみこ、関寛之、南波典子、鈴木将一朗、松永大輔、佐伯新、加藤直美、(生演奏)高田漣

岐阜県揖斐郡揖斐町の湖畔のリゾートマンションが舞台。登場人物は、ホテルのオーナーである若い男性、従業員の男女(つきあっている)、オーナーの弟(警官)、その遊び仲間の男2人、そのうち一人の妹(いなくなった飼い犬を探している)。あとは宿泊客。倦怠期の夫婦、水の上で眠ることが目的というサークルの女性3人、謎の生物チュパカブラを探す若い男。

きっちり構成されたとても完成度が高い舞台だと思うのだけど、どこか物足りない気がするのは、人物が平面的にしか描かれていないせいかもしれない。いや、まあ彼らの芝居はそういう芝居なので、この批評はおかどちがいだとも思うのだが。あと、作品の評価とは別だが、場の緊張感を維持するのに直截なセックスネタに頼りすぎているような気がした。

もうひとつ。彼らの芝居はいつもどこか実験的だが、今回は役者が交替でアナウンス役を務める手法が試みられている。個々が演じている人物の内面を吐露するわけではなく、その場の状況をちょっと詩的な表現でつづっていくのだ。せっかくの趣向なので、もっといろいろ面白いことができたような気がする。

生演奏(といっても電子楽器ばかりなのでありがたみは若干薄れるが)していた高田漣の音楽はヴィム・ヴェンダーズの映画音楽のようでとてもよかった。名前を見たときはこの間亡くなった高田渡かと思って驚いたという戯れ言を書こうとしていたのだが、実は漣は渡のご子息ということでほんとうに驚いたのだった。