誰も幸せにしない技術
2月18日に発売されたキセルのニューアルバム「窓に地球」はCDではなくCCCDだった。サイトで視聴すると魅力的な曲ばかりなのだが、とても残念だ。
不正コピー防止というコンセプトはもちろん理解できるのだが、そのために不正でないコピーまで制限するのはどう考えてもいきすぎだし、さらにそのための方法はわざと不良品を作るというものなのだ。PCに搭載されているCDプレーヤは不良なディスクの再生がしずらく、オーディオ用はある程度不良でも再生できるという、特性の違いを利用したものなのだけれど、結果としては、PCでもかなりの確率で再生可能だし、オーディオ用CDプレーヤでも100%の再生保証はできない上に、それを理由にした返金を認めないというスタンスをとっている。運がよければ再生できますというものを誰に向かって買えというのだろう。
おまけに、プレーヤーに負担をかけて寿命を縮めることになり、音質にも影響するはずだ。CCCDの3つもある“C”の中の少なくとも1つはまちがいなく“crazy”だと思う。誰も幸せにしない技術。
コミュニケーションツール的に聞かれる売れ筋の楽曲と異なり、キセルのようなマニア受けするミュージシャンの場合、CCCDはセールス的にもマイナスだと思うのだが。少なくともぼくは買わない。