不定法と命令法
英語の動詞にも仮定法というのがあったように、フランス語の動詞にも法があります。法(mood)という言葉を広辞苑で調べると、「インド‐ヨーロッパ語で、文の内容に対する話者の心的態度を示す動詞の語形変化。」だそうです。フランス語の場合には、直説法、条件法、接続法、命令法、不定法の5つがあります。それぞれの法の中に、さらに現在・過去・未来という時制があり、それがさらに人称と数によって変化するので、フランス語の動詞の活用形はものすごい数になります。なお、これまで紹介してきた動詞の活用は、直説法のなかの現在時制です。
今回は、これらの中から不定法と命令法をとりあげます。
不定法
不定法とは動詞を名詞的に扱う法です。日本語に訳すと、「~すること」になります。英語にも、動詞の頭に"to"をつけて不定詞にするというのがありますが、ちょうどそれに対応します。
不定法の活用は、辞書の見出しそのままです。つまり、être, avoir, aimerなどが不定法の活用です。不定法は動詞の補語などに使われることが多いです。辞書には"~+inf“という表記で、その位置に不定法の動詞がくることが示されています。
いくつか例を示します。
命令法
その名のとおり、命令するための形です。命令する相手によって三種類の形があります。
- 二人称単数(tuでよびかける人に対する命令)
- 二人称複数(vousでよびかける人もしくは人たちに対する命令)
- 一人称複数(nousに対する命令;~しよう)
それぞれ基本には対応する直説法現在形と同じ活用をします。
例外として、-er動詞の二人称単数に対する命令の場合、最後の"s"を省きます。例えばregarderの直説法現在二人称単数形はregardesですが、命令の場合、regardeになります。
ただし、-er動詞の二人称単数でも、次に"en"か"y"が続く場合は"s"をつけます。
- aimes-en.
このほか、不規則な活用をする動詞があります。しかし、これらは高々4つなので、簡単に覚えられるでしょう。
二人称単数 |
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一人称複数 |
二人称複数 |