P・D・ジェイムズ(羽田詩津子訳)『高慢と偏見、そして殺人』

高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

1920年生まれの女性ミステリー作家P・D・ジェイムズによる、ジェーン・オースティン『高慢と偏見』の後日談をミステリーに仕上げた作品。原題は “Death Comes To Pemberly”。結婚から6年後、二人の男の子に恵まれ広大なペンバリー館で不自由なく暮らすエリザベスとダーシー。しかし舞踏会の前夜、予期せぬ客があらわれ、森の中で死体が発見される……。

エリザベスとダーシーの夫婦探偵的なものを期待したけど、二人は徹底的に受け身。というかそもそも探偵的な人は登場しない。事件も地味だし、謎解き要素もあまりない。登場人物の内面をけっこうリアルに掘り下げているんだけど、そのことでみんな小市民的になってしまって魅力がなくなってしまった気がする。

★★