菊地成孔+大谷能生『憂鬱と官能を教えた学校 〜【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声』

憂鬱と官能を教えた学校 上---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声 (河出文庫 き 3-1)憂鬱と官能を教えた学校 下---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 旋律・和声および律動 (河出文庫 き 3-2)

もとから音楽の理論を一般教養程度でもかじっておきたいと思っていて、このところラジオなどでファンキーでリズミカルなトークにアディクト気味の菊地成孔さんの著書ということもあり、渡りに舟と、手に取った。目次を追っておくと、「調律」(1回)、「調性」(2回)、「旋律・和声」(6回)、「律動」(2回)、「総論」(1回)。映画美学校で行われた2ヶ月間、12回の講義の内容が、1回を1つの章という形でライブに書き起こされている。

これからわかるように中心は「旋律・和声」。コードの表記法とか、コード進行などちょうど知りたかったところにフォーカスする内容だった。音楽や楽器を集中してやったこともないしやろうともしていないぼくのような人間にとっては詳細すぎる実学的な内容だったが(それでもテンションにはほとんど触れられなかったりして全然足りないらしい。ぼくは最初は iPhone のピアノアプリでコードの音色を確認しながら読もうと思ったが途中で挫折した)、 (ジャズなどポピュラー)音楽が、コードという要素から構成されていることと、その構成の方法論がどういうものかというのは理解できた気がする。(ちなみに、本書ではコードで構成されるコーダルな音楽だけでなくモード=旋法で構成されるモーダルな音楽についても紹介されている)。

ディスクガイドとしてもとても役立つ本だ。

ちょっと外れるが、コード進行は、音楽だけでなく文章にも適用可能な概念だと思う。ちょっと考えてみたくなる。