サマセット・モームの作品を読むのは、中学生の時に読んだ『月と六ペンス』以来ではなかろうか。
雨あられと微妙に韻を踏んでいるけど、『雨・赤毛』という単独の作品ではなく、『雨』、『赤毛』それに『ホノルル』という南太平洋を舞台にした作品3編からなる短編集。いつになく本格的な梅雨に嫌気がさして、熱帯のバカンス気分にひたろうと思ったのだ。
20世紀に書かれたとは思えないくらいセンチメンタルな文体だし、偏見まじりのオリエンタリズムが気になったりもするが、ストーリーテラーとしての舵捌きはやはり見事で、湾内一周西から目線クルーズを楽しんだのだった。