62編からなる短編集。1編あたり4ページ弱で綴られるのは、小説というよりむしろ散文で書かれた詩といった方がいいかもしれない。たとえるなら小説の川が詩の海に流れ込む直前に生息する珍しい微生物たちといったところだろうか。
ブローティガンの幼少時の記憶、家族の話、恋愛、知り合いから聞いた話などが、異世界の出来事のように語られる。一見穏やかな情景の中にちりばめられているのは、蜂や銃など一瞬で人生を破壊できるパワーをもったものたち。後年、ブローティガンが銃で自ら命を絶つことを思えば、なんだかとても意味ありげだ。