『文化系トークラジオLife』
TBSラジオで放送されている(少なくとも個人的には)大人気番組「文化系トークラジオLife」を書籍化した本。基本的には放送された内容の文字起こしで、ぼくみたいに何度も何度もヘビーローテーションでpodcastingを聞き返した人間には既視感を感じる内容だったが、あらためて活字という形で読んでみると思っていた以上に話がかみ合わず話題がずれまくっていて、そこがこの番組の魅力だということを再確認した。
巻末の長谷川プロジューサーによるLife誕生秘話はとても興味深かった。特にホームページの浅野いにおさんが描いた男女は別々の場所にいるというところに、感銘を受けたのだった。この番組はさまざまな出会いの中から生まれたからこそ、その原点にある「出会わない」という状態をモニュメントとして記憶にとどめておかなくてはいけないのかもしれない。“boy meets girl"でない別の物語をぼくたちは必要としているのだ。
この番組はちょうどぼくのライフの曲がり角のときに始まり、折に触れ慰めや勇気を与えてくれた。いつまでも続いてほしい。