コニー・ウィリス(大森望、他訳)『わが愛しき娘たちよ』
アメリカの女性SF作家コニー・ウィリスの12編からなる短編集。
冒頭の『見張り』には長編『ドゥームズデイ・ブック』のキヴリンやダンワージィ先生が登場している。『ドゥームズデイ・ブック』は大学の実習でペスト禍のまっただなかの中世にタイムスリップする話だったが、こちらは第二次大戦のロンドン大空襲。長さが短い分だけ悲惨さもパワーダウンしていて安心した。てっきり、こちらが後発かと思ったが、実は『ドゥームズデイ・ブック』の10年前の作品だった。そのころから『ドゥームズデイ・ブック』の構想を温めていたことになる。
ライトなコメディーからシリアスな終末もの、フェミニズム的なテーマを扱ったものまで、多種多様。SF的なセンス・オブ・ワンダーが前面に出てくるタイプではないので、短編より長編向きの小説家のような気がした。