コニー・ウィリス(大森望訳)『航路』

臨死体験(NDE)をテーマにした小説。 睡眠を取るのも忘れて、何夜も朝方まで読みふけってしまった。電子書籍だったので本の厚さはわからないが、文庫だと上下巻あわせて1000ページ以上あるはずだ。 NDEを調査する心理学者ジョアンナは薬品を使って人工的にNDEと同様の状態を脳に発生させる...

コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』

文庫になる前、ハードカヴァーの本書をみつけて、読みたいとずっと思っていたのだが、消費税をいれるとほぼ3000円という価格に躊躇するうちに時間がたって、やがて、そろそろ文庫化されるんじゃないかという観測が首をもたげてきて、見送り続けてきたが、ここにきて文庫化されようやく根比べが終わ...

コニー・ウィリス(大森望、他訳)『わが愛しき娘たちよ』

アメリカの女性SF作家コニー・ウィリスの12編からなる短編集。 冒頭の『見張り』には長編『ドゥームズデイ・ブック』のキヴリンやダンワージィ先生が登場している。『ドゥームズデイ・ブック』は大学の実習でペスト禍のまっただなかの中世にタイムスリップする話だったが、こちらは第二次大戦のロン...

コニー・ウィリス(大森望訳)『ドゥームズデイ・ブック』

美人女子学生が14世紀のイギリスにタイムトラベルする話だというから、少女漫画的なほんわかSFを想像していたのだけど、それはあまりに大きな勘違いだった。 21世紀、14世紀両方を同時(というのはおかしいが)並行的に襲う疫病。問題は解決せず積み重なるばかり。読んでいて、歯がゆさと絶望を...