ぼくより下の世代の作家の作品を読むようになったのはここ数年のことだけど、その中で好き嫌いを越えて、ほんとうにすごいと思えるのは、舞城王太郎くらいかもしれない。半端なくバイオレンスで、そりゃもうグロいんだけど、ぼく、きみ、セカイというセカイ系のシチュエーションと、現代文学のメインストリーム的な多層的な物語構造をなめらかに接続できるのは、この人ならではだ。
恋人を失う喪失の悲しみを変奏曲風にアレンジした表題作は、舞城王太郎には珍しくストレートに泣ける一編だ。もう1編『ドリルボール・イン・マイ・ブレイン』は文字通り脳内エロス。こちらもすごい。